come back the outsider
目が覚めたのは、すぐ近くで人の動きを感知したからだ。
寝起きが悪い千秋としては、酒も残っていて最高潮に機嫌が悪いが、
(まずい、昨日誰か連れ込んだっけか――)
記憶が明瞭でないせいで自信がない、ムリヤリ片目を開けた。
一番に目に飛び込んできたのは、白い首筋。
はた、とその主が動きを止めた。
「起きたか。安田」
至近距離に妖艶な笑いを浮かべる赤い唇。千秋は体を硬直させた。
高坂は置きだそうとしていたところのようで、四つんばいの姿勢で千秋を見下ろしている。
腕の間にちょうど千秋がいるときに、運悪く目を覚ましてしまったらしい。
「なななな、なにしてやがんだ」
「なにを動転してる」
ちょっとおもしろいな、と高坂は思ったらしい。
普段に輪をかけて人の悪い笑いを浮かべた。
「バカ、はやくどけ!」
千秋の鼻先に高坂の黒髪が触れる。
「なにを怯えている」
高坂はおもしろがって顔を近づける。
どアップになる顔に、
「ややや、やめろー!」
「昨日さんざん無礼なことを言ってくれたからな、お返ししてやらんでもないが」
「……!!」
貞操の危機を感じ、真っ青になった千秋を見て満足したのか、高坂は身を起こし、身軽に床に降り立った。