直江はエンジンをかけながら、ちらりとルームミラーを覗き込んだ。
助手席の綾子はもう殆ど眠っているし、後部座席で高耶もゾンビだ。
千秋だけはうんざりした顔で、直江とミラー越しに視線を合わせる。
「景虎はいいとして、ねーさん大丈夫かよ」
「まあ、寝てる分にはおとなしくていい」
目元で笑って、ゆっくりクルマをスタートさせる。
直江の運転はいつも大人だ。
千秋は溜息をついて、ドアに肘をついた。
流れていく風景は、深夜だというのに人が多い。そういえば明日は土曜だっけ。
「そういやおまえ、酒入ってるのに大丈夫なわけ?」
「まあ、検問があったら適当にかわすさ」
「ならいいけど、週末は多いぜー」
「大きい道路は基本的に飲酒検問をしないから、そのルートでいく」
「ワルだねえ」
千秋は肩を竦めた。