風呂に入ってひとごこちついて、リビングを見渡す。
ソファと床に泥酔者2名、ソファにもたれかかって、足を高耶の枕にしてやっている直江も居眠りを始めている。
溜息をつきながら毛布とタオルケットをとってきて、綾子と高耶にひっかぶせ、直江の肩にはないよりましだろうとバスタオルをかけてやりながら、千秋は首を振って振り返り、……絶句した。
「……て、てめえまで」
玄関に、照明の色を吸うように佇む大学生姿の男。
「電車がなくなったのでな。ついでに泊めてくれ」
にやにや笑いながら、高坂は足元に散乱する夜叉衆の靴を見下ろした。
「つ、ついでだあ…?」
怒る気力も出ず、力が抜けた。
「1人増えようが問題なかろう。どうせ酔っ払いばかりなのだろう」
リビングを見渡して、
「何だこの体たらく。
寝首をかくなら今だな」
呆れたように言う高坂のことばに、千秋は思わずその横顔を覗き込んだが、本気で呆れているだけみたいだから放っておくことにした。
「穏便に済ませたかねえか?」
遠まわしで控えめな提案を微笑ひとつでかわし、
「奥で休むからいい」
「いいって、貴様あ……」
「風呂を借りるぞ」
千秋の怒りもオールスルーだ。
勝手知ったる人の家、とことこ風呂に入っていく。
(直江が目ェ覚ましませんように)
うちの破壊だけは阻止したい。
千秋はどっと疲れが押し寄せるのを感じて、ふらふら寝室に向かった。