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腹が減れば食い、腹いっぱいになれば眠い。 その法則に、育ち盛りの高耶は常に忠実である。 「布団で寝ろよ、ばかトラ」 千秋に小突かれながら、高耶は真っ赤な顔をして、すでに半分船をこいでいる。 主に高耶と千秋の旺盛な食欲の前に、食事は九割九分九厘平らげられていたが、全員がギブアップしてもすこしだけ皿の端に料理が残った。 ビールから冷蔵庫の梅酒に切り替えて小瓶を開けた綾子も、すでにかなり眠そうな顔をしている。 直江だけが、いつものように平然と手酌で日本酒を飲んでいた。いい加減それにも付き合い飽きて、千秋は立ち上がりながら 「フロントに電話して、布団しいて貰えば?」 「そうするか。 お前は?」 「ひと風呂浴びてくる。 このまま寝るのも忍びねえし」 釣られてまったりしていては、再び眠気の逆襲を受けることは確実だった。 直江が微笑して頷く。 「なかなかいい湯加減だったから、ゆっくり入ってこい」 「ああ、そうさせてもらうけど、締め出されちゃかなわねえから鍵持ってくぜ」 |